糖尿病
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インスリン自己抗体陽性NIDDM患者の3年間の臨床経過
山田 富美子小林 正李 媛明石橋 修繁田 幸男
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1991 年 34 巻 12 号 p. 1033-1038

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抄録

当科通院中または入院中のインスリン治療歴のないNIDDM患者のインスリン自己抗体 (IAA), 同時にインスリンレセプター抗体 (IRAb) および膵ラ氏島抗体 (ICA) を測定し, 3年後, その抗体陽性患者の抗体価の変化および臨床経過について検討した.インスリン治療歴のないNIDDM患者185人中, IAA陽性者9人のICA及びIRAbを測定し3年後どのように変化したかを臨床経過の観察を行なった.当初IAA陽性患者9人のうちICA陽性者は2人, IRAbは全員陰性であったが3年後ではIAAおよびICA共陽性は2人, 陰性7人であった.陽性の1人は食後2時間値の血中IRI, CPRは低く, Glibenclamide 7.5mgの治療を要し, 耐糖能の悪化を認めた.以上より1) インスリン治療歴のないNIDDM患者では5%にIAA陽性者が認められ, 2) IAA価は変動し, 3) 依然としてIAA, ICAが陽性の患者ではインスリン分泌が低下している場合もあり, IAAの測定はslowly progressive IDDMのスクリーニングのマーカーのひとつとして有用でありまた測定法も簡便である

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