糖尿病
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糖尿病者に見られるlimited joint mobilityに関する臨床的調査
倉八 博之森寺 邦三郎服部 尚樹石原 隆五十嵐 哲也
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1991 年 34 巻 12 号 p. 1039-1046

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抄録

糖尿病者には特殊な関節炎とは関係なく, 手指や肩あるいは股関節の可動制限 (1imited joint mobility; LJM) が報告されているが, 本邦での実態は明らかでない. RA, ANFあるいはLEが陰性の388名の糖尿病者を対象にしてLJMの検討を行った. LJMの頻度は16%(62/388) であった. 62例のLJMの内訳はpainful shoulder with restricted mobility (PSRM) 29, hand syndrome (HS) 16, PSRM with HS 13, restricted hip joint mobility (RHJM) 1, PSRM with RHJM2, PSRM and RHJM with HS 1例であった. LJM発症時の平均年齢は54.1±8.7歳, 平均糖尿罹病年数は9.7±5.6年であった, 血糖コントロールは全体の半数以上で不良 (HbA1≧12.0%) であった. 網膜症の合併が65%に見られ, そのうちの60%で光凝固療法を要した. 糖尿病自体がLJMをもたらすか否か今なお明らかでないが, 関節支持組織の加齢による変性と長期の糖代謝異常が促進的に作用するものと思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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