糖尿病
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NIDDM患者における血中Lipoprotein (a) 濃度の上昇と血糖コントロールの関連性
中田 宏志関口 雅友森川 秋月
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1991 年 34 巻 12 号 p. 1047-1053

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抄録

最近, 虚血性心疾患のみならず, 糖尿病においても血中Lp (a) が高値を示すことが報告されている. そこで我々は, 糖尿病における高Lp (a) 血症発現の一因を究明するため, 血中Lp (a) 濃度と血糖コントロールおよび糖尿病性合併症との関連性について検討した. NIDDM患者114名 (男性60名, 女性54名), 腎不全合併NIDDM患者20名 (男性14名, 女性6名) および健常人56名 (男性40名, 女性16名) を対象とした. ELISAキットを用いて測定した血中Lp (a) 濃度は, コントロール群の10.8±1.1mg/dlに比し, NIDDM群では, 20.2±1.7mg/dlと有意に高値を示したが, 性差, 年齢差はなかった. NIDDM患者75名において, 1~12ヵ月間における血中Lp (a) 濃度の変化とHbA1cの変化の間には, rs=0.292 (p<0.01) と有意な正の相関を認め, 高血糖が糖尿病における高Lp (a) 血症の一因となっている可能性が示唆された. 合併症との関係では, 腎症の程度との間に相関性が認められ, 腎不全合併NIDDM群では血中Lp (a) 濃度はさらに高値を示した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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