糖尿病
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胃内発酵によりアルコール性低血糖症を起こした血液透析患者の1例
橋本 敏博桝永 秀彦奥山 牧夫
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1991 年 34 巻 2 号 p. 149-154

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抄録

胃内発酵によりアルコール性低血糖をおこした血液透析患者の1例を報告する.症例は72歳男性で, 慢性血液透析を施行していたが, 幽門部胃潰瘍を合併し, 固形物は食べ難い状態であった.昭和63年9月10日, 意識障害にて入院, 著明な低血糖を呈し, ブドウ糖の静注にても血糖維持が困難であった.呼気にアルコール臭がするため, 胃内発酵によるアルコール性低血糖を疑い胃管を挿入したところ, アルコール臭のする多量の食物残渣が吸引された.それととともに, 低血糖症状は消失した.胃管挿入前の血漿エタノール濃度は0.2mg/mlであったが, 胃吸引後は測定限界以下となった。胃液培養からはCandida alubicansおよびTorulopsis glablataが検出され, in vivoでそのアルコール発酵能が証明された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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