1991 年 34 巻 9 号 p. 803-808
尿蛋白陰性のインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者27例において, 腎血行動態と血糖および尿中プロスタグランジン (PG) レベルとの関係を検討した. 非糖尿病対照者9例より求めたglomerular filtration rate (GFR) およびfiltration fraction (FF) のmean+2SDである142ml/min/1.48m2および0.35を超えたNIDDM患者は, GFR, FFともに5例であった.NIDDM患者全体では, 空腹時血糖値とGFRおよびFFとの間に有意の相関がみられた (ともにr=0.39, P<0.05).また, FFは尿中thromboxane B2 (TXB2) とr=-0.42 (P<0.05), 尿中6-keto-PGF1α/TXB2比とr=0.39 (P<0.05) と有意に相関した. 以上の成績より, NIDDM患者においても高血糖によりglomerular hyperfiltrationの状態を呈することがあり, このhyperfiltrationに腎由来のPGが部分的に関与している可能性が示唆された.この腎血行動態とPGとの関係は, IDDM患者で知られている関係とは異なっているようであった.