糖尿病
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糖尿病ラットのミオイノシトール非依存性神経Na/K-ATPase活性制御機構の検討
cAMPの果たす役割
前田 憲吾安田 斎繁田 幸男
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1993 年 36 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
糖尿病性神経障害の発症機序として, 神経機能を維持する上で重要な役割を果たすNa/K-ATPase (ATPase) 活性の低下が重要視されている. 我々はPGE1製剤OP1206・αCD (OP) が, ATPase活性を調節しているとされるミオイノシトール含量を変えることなく同酵素活性を改善することに着目し, PGE1のsecond messengerであるcAMPとの関連性につきin vitroの検討を行った. 6週糖尿病ラット坐骨神経では正常群に比し有意にcAMP含量が低下していた. OPを含め, Bt2cAMPやaminophylline等のcAMP作用を増強する薬剤は6週糖尿病単離坐骨神経ATPase活性を用量依存的に増加した. またOPによるATPase活性増加は1分以内に発現し, 蛋白リン酸化酵素阻害剤H8, staurosporineにより完全に抑制された. これらの成績は糖尿病神経ATPase活性がcAMPによる蛋白リン酸化機構により調節されていることを示唆し, 糖尿病性神経障害に対する治療法を究明する上で重要な所見と考えられる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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