糖尿病
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抗リン脂質抗体症候群, 特発性血小板減少性紫斑病および慢性関節リウマチの経過中に発病したslowly progressive IDDMの1例
大塚 香奈子伊藤 久生時澤 佳子田中 正純八谷 直樹荒牧 真紀子猪口 哲彰大泉 耕太郎Masahiro Yoshida
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1994 年 37 巻 11 号 p. 833-837

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抄録

症例は54歳, 女性で1968年特発性血小板減少紫斑病 (ITP) と診断され副腎皮質ホルモン投与されていたが, 1971年に慢性関節リウマチ (RA) を併発した. 1979年尿糖および高血糖が出現し, 糖尿病と診断され, その後ITPの増悪により副腎皮質ホルモン (プレドニン) を30mgに増量し, インスリン注射を開始した.この時点での尿中C-ペプチド (CPR) は36μ9/日であった. 1989年頃より血糖コントロールは徐々に悪化し1991年には尿中CPRが10μ9/日以下となり, グルカゴン試験も無反応を示した.また, 既往に流早産を数回経験し, 検査所見ではICA, RA因子, 抗血小板抗体, およびループアンチコアグラントが陽性を示した. 以上より時間的に推移しながらITP, RAおよび抗リン脂質抗体症候群にslowly progressive IDDMなどの自己免疫疾患を合併したもので, 免疫学的背景を考える上で興味ある症例と思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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