糖尿病
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糖尿病壊疽合併患者における下肢動静脈短絡率の増加
高桜 英輔大沢 謙三家城 恭彦牧野 博瀬戸 光
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1995 年 38 巻 12 号 p. 931-937

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抄録

糖尿病性壊疽の発症に自律神経障害にもとづく動静脈 (A-V) 短絡路の関与が注目されている. 今回, 99m Tc-microsphere albumin (MISA) の動注により下肢のA-V短絡率を算出し, 壊疽および末梢神経障害との関係を検討した. 壊疽を有する糖尿病G群10例, 末梢神経障害 (+) N群14例, 末梢神経障害 (-) C群14例, 計38例に対し99m Tc-MISAを左右の大腿動脈へ注入し, 全身の放射能に対する肺の放射能比 (%) としてA-V短絡率を算出した. G群 (7.1±13%, M±SE), N群 (3.9±0.3%) のA-V短絡率はC群 (1.9±0.5%) に比し有意に高く, また心電図R-R間隔変動係数とA-V短絡率の間には有意な負の相関が認められた. 以上の成績から99m Tc-MISAの動注により算出したA-V短絡率は糖尿病性自律神経障害の定量的評価法として有用であること, 糖尿病性壊疽の発症機序としてA-V短絡率の増加は重要な因子であることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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