糖尿病
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食塩負荷による食後血糖の増強
胃排出能からみた検討
中村 宏志片桐 尚中川 理谷 長行伊藤 正毅柴田 昭
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1995 年 38 巻 12 号 p. 939-943

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抄録

炭水化物摂取後の血糖上昇が食塩の同時摂取により増強される機序について検討した.健常人12名に, 流動試験食 (A食) を飲用させ, 超音波法により胃排出時間を求めた.検査前と開始後30~60分毎の血糖, IRI, gastrin, motilinも測定した.別の日に食塩5gを加えた試験食 (B食) を用いて同じ検査を施行した.さらに別の日に食塩5gをオブラートに包んだもの (C食) を用いて検査を施行した.B食とC食が, A食に比して, 負荷30~60分後において, 負荷前からの△BSが有意 (p<0.05) に高値であり, △IRIは, A食に比してB食とC食が, 負荷30~60分後において有意 (p<0.05) に高値であった.B食とC食の胃排出半減時間は, A食に比して, 有意 (p<0.005) に短縮していた.B食とC食の摂取30分後のmotilinがA食摂取時に比して有意 (p<0.05) に増加していた.食後血糖が食塩摂取により増強されるのは, 胃排出時間短縮による糖質の吸収促進のためであり, この現象は味覚を介するものではないことが判明した.また, この反応にはmotilinが関与していることが示唆された.

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