糖尿病
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NIDDMの発症様式を示した糖尿病患者における抗GAD抗体の臨床的意義
川崎 英二阿比留 教生矢野 まゆみ石橋 美和山元 秀文山崎 浩則松尾 浩魚谷 茂雄松本 一成山口 義彦赤澤 昭一長瀧 重信
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1995 年 38 巻 5 号 p. 341-346

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抄録

NIDDMの発症様式を示し, その後インスリン治療を必要とした糖尿病患者114例において I型糖尿病の診断・予知マーカーである抗GAD抗体をRIA法にて測定し, 陽性者の臨床像を検討した. その結果, 対象114例中19例 (16.7%) に抗GAD抗体が検出された.また, インスリン 分泌不全群 (食後血中Cペプチド<1.0ng/ml) およびインスリン分泌保持群 (食後血中Cペプチド≧1.0ng/ml) における抗GAD抗体陽性率は, それぞれ35.9%(14/39), 6.7%(6/75) で, インスリン分泌不全群に有意に高率であった. ICAは抗GAD抗体陽性者19例中12例 (63.2%) に認められたが, 抗GAD抗体陰性者では検出されなかった. さらに抗GAD抗体陽性患者は, 陰性者に比ベインスリン治療開始までの期間が短く (平均2.9年), やせ型で (平均BMI20.0kg/m2), インスリン分泌能が有意に低い (食後Cペプチド平均値0.78ng/ml) というI型糖尿病の臨床的特徴を有していた. 以上より, 抗GAD抗体測定はNIDDMの発症様式を示した糖尿病患者におけるI型糖尿病の検出に有用と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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