糖尿病
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インスリン非依存型糖尿病におけるmitochondria遺伝子3243変異について
検出方法と頻度について
阪口 英伸三家 登喜夫大萩 晋也南條 輝志男
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1996 年 39 巻 2 号 p. 113-121

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抄録

Mitochondria遺伝子3243位A→G変異 (3243変異) のmass screeningにおける問題点を, plasmidによる入為的heteroplasmyを作成し, 競合PCRの原理により検討した. Non-radio active PCR/RFLP法でも1%程度の変異の検出は可能であったが, 定量性は変異率が小さいほど不正確であった. またallele specific PCR法は確立できなかった. そこで, 今回検討した中で最も簡便で検出性が高いと考えられた方法を用いて, 当院通院中のNIDDM患者300例, 非糖尿病者250例に対して3243変異を検索したが, MELAS患者を有する1家系 (2症例) に認められたにすぎなかった. この2症例はいずれもインスリン分泌能低下が示唆されるNIDDM患者であった. 3243変異の合併はインスリン分泌能低下を伴う可能性が示唆されたが, NIDDMで認められる頻度は, 神経・筋疾患や難聴などを合併する特殊なNIDDMを除いて, 一般のNIDDMでは極めて少ないのではないかと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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