1996 年 39 巻 8 号 p. 649-654
糖原病1a型は糖新生酵素グルコースー6-フォスファターゼ (G6Pase) 活性の欠損により起こる常染色体劣性遺伝疾患である. 今回我々は低血糖, 高脂血症, 高尿酸血症を主訴とし37歳で診断された成人の糖原病1a型患者の遺伝子解析をおこなった. その結果, この患者は本邦の糖原病1a型では主流を占めるG6Pase遺伝子G727T変異 (GSD 1a G727T変異) のホモ接合体であることがわかった. この患者の家系についても遺伝子解析を行い, 家系内に多数のヘテロ接合体を持つ保因者を認めた. 保因者の中に糖原病1a型の検査所見を呈する者は無く, 正常者と変わらぬ検査所見を示した. したがって, この疾患が常染色体劣性遺伝であることが遺伝子レベルで確認でき, この方法で保因者を含む患者の遺伝子診断が可能であることが証明された.