抄録
症例は22歳, 女性. Basedow病, IDDM加療中に, Sick day時インスリン注射を中止したため, 血糖995mg/dl, PH6.78, HCO3 4.5mmol/l, 総ケトン体3325μmol/lとケトアシドーシスを発症, 緊急入院となった. 補液と, 持続的経静脈的インスリン注入により翌日には血糖200mg/dl前後まで改善した. が, 急激に血小板減少を認め, 同時に溶血性貧血も急激に進行した. PAIgG 216.0ng/107cellsと高値, 骨髄は正常であり, 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断した. 連日プレドニン40mg投与したが低反応なため, 2日間パルス療法 (メチルプレドニゾロン1000mg/日) 施行後改善傾向であった. DICも合併したがITP, 溶血性貧血改善とともに軽快した. 本症例はGAD抗体, TSH receptor抗体, PAIgGと高値を示し, 自己免疫破綻による多疾患合併例であり, 興味深く一報する.