糖尿病
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糖尿病性ケトアシドーシス発症時, HbA1cとフルクトサミンが正常値であった急性発症インスリン依存型糖尿病の1例
清野 弘明渡辺 裕哉山崎 俊朗熱海 真希子菊池 宏明阿部 隆三
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1998 年 41 巻 11 号 p. 1013-1016

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抄録

症例は27歳の女性. 1997年2月27日, 急激な口渇感を感じ, 水を2,000ml程度飲んだ. 2月27日夜, 悪心, 嘔吐を認めたため, 2月28日外来を受診した. 食前血糖537mg/dl, pH7.288, BE-11.3mEq/l, HCO3, 13.8mmol/l, 尿ケトン体 (3+), 血中総ケトン体7, 145μmo1/lにて糖尿病性ケトアシド, シスと診断し緊急入院となった. 入院時のHbA1c5.5%, フルクトサミン303μmol/lであった. 入院中の尿中CPRは5回測定しすべて0.1μg/day以下, 血中CPRは入院中グルカゴン負荷試験を2回施行し, 負荷前, 負荷6分後とも0.1ng/ml以下であった. GAD抗体は, 6回測定するも陰性であり, ICAは3回とも陰性であった. HLAはA24, (B54-DR4), (B61-DR9), DQ3, DQ4を有していた. 退院後のインスリン治療は, 速効型インスリンを朝10単位, 昼10単位, 夕8単位, 就寝前に中間型インスリン18単位使用中で, HbA1cは6%台に維持されている. 入院時HbA1cとフルクトサミンが正常値であった急性発症IDDMの1例につき報告する.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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