糖尿病
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糖尿病性Charcot関節の1例
横井 健治田村 隆一
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1998 年 41 巻 4 号 p. 283-288

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抄録

症例は66歳男性で, 約5年間糖尿病治療を中断している間に, 右膝関節が自発痛なく腫脹変形し, 歩行障害が出現. 右膝関節骨のX線写真で脛骨内側関節面を中心に広汎な骨破壊像を認め, 右下腿動脈のAPI (ankle brachial pressure index) の低下や末梢神経障害を示唆する所見がみられた. 入院時空腹時血糖は420mg/dl, HbA1cは13.7%であった. ペンフィル30Rの20単位/dayの皮下注にて約2カ月後には空腹時血糖110mg/dl, HbA1c 7.6%となった. 右膝関節は装具にて免荷を行い, アルドース還元酵素阻害剤とbisphosphonatesを投与した. 入院時骨形成マーカーのオステオカルシンが低下し, 骨吸収マーカーの尿中ハイドロキシプロリンが亢進していたが, 約9カ月後には両者のマーカーともに改善し, 歩行は階段昇降ができるまでに回復した. 糖尿病性Charcot関節が血糖コントロールなどの治療に奏効し, また糖尿病性骨代謝障害をみるうえでも興味があると思われたので報告する.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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