糖尿病
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健常者およびインスリン非依存型糖尿病患者における血清と尿中TGF-β1の比較較
石橋 不可止
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1998 年 41 巻 8 号 p. 669-675

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抄録

健常者 (C群, 5名) とmicroalbuminuria (MAU) の有無別に分けたNIDDM49名 (I群: MAU陰性26名,, 群: MAU陽性23名) を対象として空腹時にL-arginine負荷 (LA) を実施し,, 時間の血清と尿中のTGF-β1 (ELISA) およびアルブミン (TIA法) を測定して3群のTGF-β1を比較した. さらにMAU発症における尿中TGF-β1の関与を検討した. LA前後の血清と尿中TGF-β1はFPG (r=0.22-0.49) およびHbA1c, (r=0.36~0.51) と有意に相関した. LAは各群の尿中TGF-β1, 約3倍に増加したが, NIDDM-II群 (0.46±0.06→1.30±0.10ng/hr) がLA前後とも最も高く, NIDDM-I群 (0.37±0.04→0.91±0.05ng/hr) はC群 (0.19±0.02→0.66±0.05n9/hr) より増加していた. LA前後の尿中TGF-β<S, 1はAER (r=0.26 vs r=0.63) およびアルブミン, 体濾過 (r=0.36 vs r=0.59) と正相関, 尿細管再吸収率 (r=-0.37 vs r=-0.49) と負の相関を示したが, 血清TGF-β1は何ら相関がなかった. 上記の成績は耐糖能の悪化により増加した尿中TGF-β1のMAU発症への関与を示唆している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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