糖尿病
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糖尿病性ケトアシドーシスに無痛性急性膵炎を合併した若年発症肥満インスリン非依存型糖尿病の1例
山口 康平萱島 徹橋口 恭博
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1999 年 42 巻 2 号 p. 163-168

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抄録

糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) に合併した急性膵炎で, 全経過を通じて全く腹痛・背部痛を訴えなかった1例を経験した. 症例は15歳男性で, 身長180cm, 体重100kg. 入院の10日前より感冒様症状出現, 近医にて投薬治療を受けたが軽快せず, 徐々に意識レベルの低下がみられたため, 当科に緊急入院した. 動脈血ガス分析にてPH7.07, BaseExcess-25.8mmol/lであり, 血糖値970mg/dl, 尿ケトン強陽1生を認めたため, DKAと診断した.輸液とインスリン療法によりアシドーシスの改善をみ, 意識清明となった. しかし, CRP強陽性 (28.1mg/dl), 血清アミラーゼの高値を認めたため, 腹痛の訴えはなかったが腹部CT検査を施行, 急性膵炎と診断できた. 絶飲食とナファモスタットによる治療を行い, 軽快した. 本例は入院時1.158mg/dlの高中性脂肪血症を呈しており, これが急性膵炎の原因と考えられた. DKAに伴う急性膵炎で, 腹痛を来さない例があり得ることは報告の価値があると考えられる.

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