糖尿病
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慢性甲状腺炎, Fanconi症候群, 腎尿細管アシドージスを合併した1型糖尿病の1例
亀谷 富夫藤田 一越田 英夫
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2000 年 43 巻 11 号 p. 963-967

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抄録

症例は, 63歳の男性. 45歳より糖尿病あり. 50歳には尿CPRは2L7μg/日と低下. 55才よりインスリン治療を開始, 1998年6月18日全身倦怠感あり, 入院となる, 血清Kは, 2.2mEq/lと低下. 動脈血ガス分析では, 重炭酸は13.0mmol/lと低下しpH7316とaniongap正常の高クロ-ル性代謝性アシドージスを呈していた. 抗Tg抗体, 抗TPO抗体は陽性で慢性甲状線炎の状態と考えられた. 尿CPRは10, 0μg/日と著明に低下していたが, ICA抗体, GAD抗体は陰性であった. 尿中β2microgloburinは著明に増力口し, 尿アミノ酸分析では各種アミノ酸の排泄増加がみられた. 以上より遠位型RTAおよびFanconi症候群と考えられた. 経過よりslowlyprogressiveIDDMが疑われ糖尿病, 慢性甲状線炎, RTA, Fanconi症候群はすべて自己免疫の機序で発症した可能性もあり, 貴重な症例と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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