2型糖尿病患者にトログリタゾン (TR: 127例) とメトホルミン (MF: 120例) を24週間投与し, 臨床効果とその予測因子を比較検討した. 空腹時血糖 (FPG) とHbA1cはTRあるいはMFの投与により同等に低下した, 12週後のFPG変化率と背景因子との関連を検討すると, 単回帰分析では, TR群で homeostasis model assessment インスリン抵抗性指数 (HOMA-R), 空腹時血中インスリン (IRI), 年齢, body massindex, FPGの順に, MF群でFPG, HbA1c, HOMAR, 罹病期間, 年齢の順に有意の相関を認め, 変数選択重回帰分析では, TR群でHOMA-Rが, MF群で投与前FPGが最も強い寄与因子であった. また, TR群におけるFPG変化率は投与前のIRI依存性に高くなったのに対し, 投与前FPGが160mg/dl以上では一定であった, 以上より, TRとMFはインスリン抵抗性を有する2型糖尿病患者に対し同等の血糖改善効果を有するものの, MFはFPG高値例で, TRはHOMA-R高値例, 特にIRI高値例で, 高い有効性を期待できると考えられた.
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