抄録
18歳未満発見2型糖尿病の予後に学校検尿と治療中断が及ぼす影響を検討した. 対象は1980年から1998年までに東京女子医科大学糖尿病センターを受診した18歳未満発見2型糖尿病283名 (男142名, 女141名) である. 学校検尿で発見された『学校検尿発見群』は183名おり, 1974年以降この群の割合が5096を超し, 1992年以降は76.5%を占めていた.『学校検尿発見群』は『学校検尿以外発見群』と比べ, 治療中断の頻度および合併症の頻度, 重症度のいずれにおいても差異はみられなかった. 一方, 糖尿病と診断されてから当センター初診までに少なくとも1年以上医療機関を受診していなかった『治療中断あり群』は91名であった, 『治療中断あり群』は『中断なし群』と比べ, 合併症の頻度が高く (p<0.0001), 合併症は重症化していた (p<0.0001). 治療中断は罹病期間を考慮しても合併症発症に大きく影響を与えていた (p<0.01).