糖尿病
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一酸化窒素 (NO) のインスリン作用発現に果たす役割
euglycemic clamp法を用いた検討
李 玲押田 芳治韓 艶清福 典之北越 香織佐藤 祐造
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2000 年 43 巻 4 号 p. 301-306

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抄録

一酸化窒素 (NO) のin vivoにおけるインスリン作用に果たす役割について検討を加えた.対象は健常 (HC) ラット18匹及びSTZ誘発糖尿病 (DM) ラット18匹であり, さらに, 生理食塩水 (生食), NO合成酵素阻害剤NG-monomethyl-L-arginine (LNMMA, 1mg/kg/min), NOドナーsodium nitroprusside (SNP, 3ng/kg/min) の投与の計6群とし, インスリン注入率3.0mU/kg/minのeugiycemic clamp法を90分間無拘束覚醒下で行い, clamp後半30分間のgiucose disposal rate (GDR, mg/kg/min) とmetabolic clearance rate for glucose (MCR, ml/kg/min) を求め, insulin作用の指標とした.DMラットにおいてLNMMA投与は, GDRを生食投与群に比して有意に低下さぜたが (112±0.8 vs.7.0±0.7mg/kg/min, p<0.05), SNP投与ではGDRを生食投与群に比較し有意に増大させた (21.6±2.0 vs 11, 2±0.8mg/kg/min, p<0.01). また, SNP投与DMラットのMCRはHC生食投与群の87%に達した. 一方, HCラットでは, LNMMAあるいはSNPの投与によるGDRとMCRの変化はみられなかった. 以上の成績は, NOは高血糖により減弱したインスリン作用を改善させる可能性を示唆している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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