糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
胸部脊髄神経根障害を併発した糖尿病性治療後神経障害の1例
山下 治久永井 幸広野原 えりか篁 俊成小林 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 43 巻 4 号 p. 307-311

詳細
抄録

症例は60歳男性. 1998年3月, 体重減少, 口渇感にてS病院を受診, HbA1c 11.5%のコントロール不良な糖尿病と診断され, インスリン治療が開始された, 同年6月にはHbA1c6.6%まで改善したが, 同時期より, 両側手足のしびれ感ならびに右季肋部の自発痛が出現, 精査加療のため8月18日当科入院となった. 症状および入院後の検査にて右季肋部痛は糖尿病性胸部脊髄神経根障害が強く疑われ, 治療としてリポープロスタグランディンE1 (Lipo-PGE1) 投与を行ったところ, 投与14日目には右季肋部痛および手足のしびれ感の改善を認めた. しかし, 投与中止後, 14日目に右季肋部痛が増悪し, 再投与により症状は改善した. 本例では, 急激な血糖コントロール後に手足のしびれ感が出現しており, 治療後神経障害の関与が疑われた. 一方, Lipo-PGElの効果より, 胸部脊髄神経根障害の発症に神経根の虚血性変化の関与が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top