2000 年 43 巻 4 号 p. 313-317
症例は56歳の男性. 46歳で糖尿病を指摘され, 当科外来で力口療中であったが, 常にHbA1cが8~996台と血糖コントロールは不良であった, 1997年7月31日から発熱, 左下腹部痛が出現し, 同年8月5日当科入院. 糞便及び血液培養よりサルモネラ血清群09が検出され, 腹部CTで左総腸骨動脈周囲に膿瘍状異常陰影を, 血管造影と3DCTで同部位に直径6cmの動脈瘤を認めたため, 感染性左総腸骨動脈瘤と診断した, 抗生剤が無効で, 破裂の危険性があり, 8月26日に瘤切除および人工血管置換術 (左右大腿動脈バイパス) を施行し治癒した, 本例は, サルモネラによる感染性動脈瘤を強く疑われたが, 血糖コントロール不良による易感染性と動脈硬化性病変が本症例の病態に強く関与していると考えられた.