糖尿病
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膵島所見を観察し得た抗グルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 65抗体陽性インスリン非依存糖尿病の1例
丸山 太郎春日 明小沢 ゆか子仲里 朝周岩崎 良二鈴木 裕也
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2001 年 44 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

GAD65抗体陽性のインスリン非依存糖尿病 (NIDDM) は高率にインスリン依存に進行することが知られ, GAD65抗体陽性NIDDM患者は1型糖尿病のnon-insulin-requiring stageにあるものと考えられる. しかし, GAD65抗体陽性であっても, 低抗体価の患者は食事療法やSU剤で長期間にわたって良好なコントロールが維持され, 内因性インスリン分泌の低下も認められないことが多く, 全てのGAD65抗体陽性NIDDMを1型糖尿病とすべきかは問題である. 私たちはインスリン治療を必要としないGAD65抗体低抗体価陽性糖尿病患者の膵島所見を膵癌にて切除された膵組織において観察し得た. 膵頭周囲に軽度リンパ球浸潤を示す膵島周囲炎を20%に認めたが, インスリン分泌細胞の著明な減少は認められなかった. 低抗体価のGAD65抗体陽性の意義については今後更に検討が必要であり, 現時点では [型糖尿病の疑いとして取り扱うべきであると考えられた.

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