2002 年 45 巻 12 号 p. 875-879
症例は74歳, 女性。血糖コントロール不良の2型糖尿病で腰痛と発熱のため近医に入院した.意識レベルの低下を認めたため, 当センターに紹介入院.敗血症の診断で抗生剤を投与したが, 改善を認めなかった.その後, 右肘の痛みも加わったため肘部の穿刺吸引および腹部CTの結果, 右肘と腸腰筋の膿瘍と診断し, 切開排膿術を施行した.しかし再度の発熱と両臀部, 大腿部の痛みが出現した.CTの結果, 各部位に膿瘍が確認され, それぞれ切開排膿により治癒した.血糖コントロールが不十分な糖尿病で原因不明の筋肉痛を認めた場合は, 筋膿瘍の存在を念頭に置くことが重要であると考えられた.