糖尿病
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インスリン感受性の亢進を認めたCowden病の1例
佐藤 直市中島 直樹許斐 朝子小林 邦久井口 登與志原田 直彦田尻 祐司三村 和郎梅田 文夫名和田 新
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2002 年 45 巻 12 号 p. 889-894

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抄録

症例は51歳男性, 多発性の顔面外毛根鞘腫, 口腔粘膜乳頭腫を認め, 消化管の多発性ポリープと甲状腺, 肺の腫瘤性病変が存在したことから, 家族性腫瘍症であるCowden病と診断された, Cowden病の病因遺伝子とされるPTEN遺伝子の解析を行った結果, ヘテロのフレームシフト変異 (exon7の4塩基挿入) を認めた. 本症例のインスリン感受性について検討したところ, 空腹時血糖92mg/dlに対して-R-1.3μUml (HOMA-R0. 30), CPR<0.1ng/mlと低値であり, また人工膵臓を用いたeuglycemic hyperinsulinemic clamp法 (インスリン注入率1.5mU/kg/min定常時血中インスリン濃度70.3μU/ml) にてM値14.1mg/kg/minと上昇しており, インスリン感受性の亢進が示唆された. 同時に測定した経門脈由来の肝臓への糖取り込みも健常者に比し上昇傾向を認めた. PTEN蛋白はphosphatidylinosito 3, 4, 5-triphosphateを脱リン酸化することにより, 細胞, 個体レベルにおいてインスリンシグナルを負に制御する可能性が報告されている. 本症例はPTEN蛋白がヒトの生体内においてもインスリン感受性や糖代謝において重要な役割を演じている可能性を示唆すると考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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