糖尿病
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糖尿病患者におけるエルゴメーターを用いた運動能力の測定
特に頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (IMT) との関連
田尻 祐司三村 和郎梅田 文夫
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2002 年 45 巻 4 号 p. 219-224

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抄録

エルゴメーターを用いて測定した糖尿病患者の運動能力と動脈硬化との関連について検討した. 当科入院中の2型糖尿病患者102例 (男71, 女31例, 平均年齢55歳, 平均罹病期間8年) を対象として, エルゴメーターを使用してanaerobic threshold (AT) を, また頸動脈超音波による総頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (IMT) を測定した. AT, IMTを目的変数として, 高血圧の有無, 肥満度 BMI, 血糖コントロール, 空腹時血中IRI, CPR値との関連性を検討した. その結果, ATとBMI, 高血圧合併, インスリン抵抗性の指標などとの間に負の関連性が認められた. MTに関しては, 年齢以外では高血圧合併, HbA1c. 血中CPR値との正の関連性が認められた. さらに, IMTは運動能力良好群 (W群: AT 4.O METS以上, n=54) においては, 低下群 (P群: AT 3.9 METS 以下, n=48) と比較して有意の低値を認めた (p<0.05). 以上より, 糖尿病患者において, 運動不足と動脈硬化の関連性が認められ, その要因として肥満, 高血圧およびインスリン抵抗性の関与が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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