糖尿病
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45 巻, 4 号
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  • 特に頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (IMT) との関連
    田尻 祐司, 三村 和郎, 梅田 文夫
    2002 年 45 巻 4 号 p. 219-224
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    エルゴメーターを用いて測定した糖尿病患者の運動能力と動脈硬化との関連について検討した. 当科入院中の2型糖尿病患者102例 (男71, 女31例, 平均年齢55歳, 平均罹病期間8年) を対象として, エルゴメーターを使用してanaerobic threshold (AT) を, また頸動脈超音波による総頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (IMT) を測定した. AT, IMTを目的変数として, 高血圧の有無, 肥満度 BMI, 血糖コントロール, 空腹時血中IRI, CPR値との関連性を検討した. その結果, ATとBMI, 高血圧合併, インスリン抵抗性の指標などとの間に負の関連性が認められた. MTに関しては, 年齢以外では高血圧合併, HbA1c. 血中CPR値との正の関連性が認められた. さらに, IMTは運動能力良好群 (W群: AT 4.O METS以上, n=54) においては, 低下群 (P群: AT 3.9 METS 以下, n=48) と比較して有意の低値を認めた (p<0.05). 以上より, 糖尿病患者において, 運動不足と動脈硬化の関連性が認められ, その要因として肥満, 高血圧およびインスリン抵抗性の関与が示唆された.
  • 清野 弘明, 渡辺 裕哉, 山口 日吉, 三崎 麻子, 武藤 元, 北川 昌之, 山崎 俊朗, 熱海 真希子, 菊池 宏明, 阿部 隆三
    2002 年 45 巻 4 号 p. 225-229
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    われわれは糖尿病性ケトアシドーシス時にInterleukin-6 (IL-6) 等のサイトカインが血中に増加することを報告してきた. 近年, 肝細胞の増殖因子として, Hepatocyte Growth Factor (以下HGF) の構造解析がなされ, さらにHGFは種々の機能を有するサイトカインであるとも解明された. そこで, 糖尿病性ケトアシドーシス時には血中にHGFが増力口している可能性を考え, ケトアシドーシス (12例) の血清中のHGFを検討した. 対照として, ケトーシスを伴わない, 単なる高血糖の患者 (8例) の血清中のHGFも測定した. ケトアシドーシス群のHGFは1.28±0.99ng/mlで, 高血糖群のHGFは0.35±0.15ng/mlで有意 (p<0.05) にケトアシドーシス群で高値であった. ケトアシドーシス時のHGF高値の病因は不明であるが, ケトアシドーシス時にHGFが高値を示すという報告はなく, 興味深い現象と思われる.
  • 岩城 祥樹, 田口 裕久, 角 誠二郎, 尾崎 浩史, 呉 昌彦, 更級 元, 渡部 俊哉, 桂 善也, 根本 洋子, 則武 昌之, 松岡 ...
    2002 年 45 巻 4 号 p. 231-235
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性. 主訴は右眼球腫脹, 発熱. 1999年7月17日より嘔気, 嘔吐出現, 食欲低下し臥床していた. その後夜間に転倒, 皮膚の擦過傷を含めた外傷は認めなかったが食欲低下が改善しないため近医に入院となった. 入院後右眼球腫脹出現, その後発熱・症状増悪のため7月28日に当院に転院となった. 当院入院までの間, 中心静脈カテーテルは留置されていなかった. 入院時より右眼球発赤・腫脹強く入院時検査所見は白血球数9, 200/μl, 血小板数5.9万/μl, 血清CRP値16.1mg/dl, 空腹時血糖値190mg/dl, HbA1c値9.496と血糖コントロール不良であり, preDICの状態であった. CFPM4g/day, CLDM1, 200mg/dayを開始したところ, 第7病日には血小板数13.8万/μl, 血清CRP値4.8mg/dlと改善傾向を認めたが, 眼球内の膿瘍形成を認めたため, 第10病日に右眼球摘出術を施行, 摘出眼硝子体液の培養からEnterobacter agglomeransを検出した. 右眼球摘出術後炎症所見は改善し, 外来通院治療となった. 眼内炎は眼科手術後, 敗血症, 中心静脈栄養管理などに伴う報告はあるものの本症例では感染経路は不明であった. Enterbacter agglomeransを起因菌とする眼内炎の報告は本例が最初である.
  • 濱崎 暁洋, 谷口 孝夫, 上野 宏行, 松田 功, 為我井 道子, 瀬古 修二, 久野 信一郎, 山田 祐一郎, 清野 裕, 岡本 元純
    2002 年 45 巻 4 号 p. 237-244
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Cushing症候群およびpreclinical Cushing症候群症例を経験し, その副腎腺腫摘除術治療前後におけるインスリン抵抗性の改善をglucose clamp法によって評価し得た. 症例1は65歳女性. 高血圧の精査の際にCTにて左副腎腺腫を指摘されていた. BMI26.0, 血圧188/104mmHg (降圧薬内服下), Cushing症候群に典型的な身体所見はなし. 症例2は66歳女性. BMI21.5, 血圧154/90mmHg (降圧薬内服下), 中心性肥満, 上肢に皮下溢血斑を認めた. 両症例ともコルチゾール値の日内変動の消失, デキサメサゾン大量負荷による抑制なく, ACTHは低値を示し, 画像精査等より, 症例1, 2はそれぞれ, 左副腎腺腫によるpreclinical Cushing症候群およびCushing症候群と診断され, 左副腎摘除術が施行された. 副腎摘除術治療前後の耐糖能評価では, 両症例とも75gOGTTで糖尿病型から境界型に改善するとともに, インスリン抵抗性の指標であるeuglycemic hyperinsulinemic glucose clamp法によるMetabolic Clearance Rate (MCR) の評価では4.2→10.1および38→5.4ml/kg/minまでの改善を示した, Preclinical Cushing症候群においてもCushing症候群と同様, インスリン抵抗性が耐糖能障害の要因であることが示された.
  • 本邦における肝転移を来した悪性インスリノーマの検討
    川地 慎一, 棚橋 忍, 大西 隆哉, 浅野 寿夫, 小川 徹, 柴田 敏朗, 白子 順子, 岡本 清尚
    2002 年 45 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性. 1997年10月意識消失を認め搬送された. 血糖値25mg/dlで, ブドウ糖経静脈的投与にて意識は改善し, 低血糖性昏睡の診断にて入院した, 空腹時インスリン/血糖 (l/G) は1.11と高値であり, 腹部US, CTにて膵体尾部腫瘍と多発性肝腫瘍を認めたことより悪性インスリノーマが考えられた. 12月, 膵腫瘍摘出術および肝腫瘍生検を施行した, 病理組織上は, 形態・染色性よりいずれもランゲルハンス島由来と考えられ, 膵周囲組織・神経・脈管・リンパ節への浸潤を認めた. 以上より, 肝転移を伴う悪性インスリノーマと診断した, 術後l/G比は0.21に改善し, 低血糖は消失した. 転移性肝腫瘍に対して術後肝動脈塞栓術 (TAE) を施行し, l/G比は0.06とさらに低下した. 計7回のTAEを行ったが, 徐々に低血糖を抑制できなくなり, 2000年6月, 死亡した. 発症から2年8カ月間の全経過で, 2年1カ月間を外来で過ごした. 肝転移を伴う悪性インスリノーマの報告例は少なく, われわれの検索では本邦で40例目である. その治療法は確立されていないが, 本症例ではTAEが奏効し, QOLの改善を得た.
  • 谷川 隆久, 岡田 洋右, 新生 忠司, 神田 加壽子, 森田 恵美子, 田中 良哉
    2002 年 45 巻 4 号 p. 253-256
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 女性. 両親ともに2型糖尿病. 41歳時, 体重98kgと肥満を認めたが耐糖能は正常であった. 45歳時にバセドウ病および糖尿病と診断され, チアマゾールと食事療法でコントロール良好 (HbA1c10.596から6.896へ改善) であった. その後, 食事療法が守れずケトーシスを来し, 一旦はα-グルコシダーゼ阻害薬のみで血糖コントロール可能となったが, 約1年6カ月で内因性インスリン分泌が廃絶しインスリン導入となった. 本例は, 初診時より抗GAD抗体が5.136U/mlと著明高値であり, 緩徐進行型の1型糖尿病と考えられた. バセドウ病と糖尿病が合併した場合, 本症例のように, 肥満歴および糖尿病の家族歴から2型糖尿病と思われても, その中には緩徐進行型の1型糖尿病の進展形式をとる例が存在する可能性も考慮して抗GAD抗体の測定を実施しておくことが重要であり, 慎重な経過観察が必要であることが示唆された.
  • 下条 正子, 薬師寺 史厚, 宮地 幸隆
    2002 年 45 巻 4 号 p. 257-262
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性. 1996年5月, 健診で多発性肝腫瘍を指摘された. 肝臓の試験切除の結果, neuroendocrine carcinomaの肝転移と診断され, fluorouracil, doxorubicin, cycbphosphamideによる化学療法を受けていた. 1998年8月, 空腹時に意識障害が出現し入院. 低血糖と相対的な高インスリン血症, 肝転移巣の病理検査で転移性悪性インスリノーマと診断された. 原発巣は不明であった. 多発性肝転移を伴うため手術適応はなく, 各種の薬物療法を行ったが, 血糖値が20mg/dlに及ぶ程の著しい低血糖が頻繁に出現した. そこでStreptozotocinの静脈内投与を行ったところ, 血糖コントロールが改善し, 腫瘍の縮小もみた. 治療開始一年半後の現在も, 経過は良好である.
  • 大谷 哲平, 三浦 次郎, 後藤 康二
    2002 年 45 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的] カートリッジ製剤N注 (300単位) の混和方法および混和回数によって, 混和に差がないかについて検討を行った.[方法] 臨床で使用するのと同様の方法で, 1日1回10単位注射液を出す作業を20日間繰り返し, バイアルに残った液の濃度を測定した. 混和方法は, 手首を使って左右又は上下に振る, 扇状に振る, 上下反転, 肘を支点に180度上下 (メーカー推奨), 手首を使わず左右に静かに動かすの6種で, 各々5, 10, 15往復を3本ずつ, さらに3種の静置各3本を加え, 合計63本について実験を行った.[結果] 手首を使って素早く振る様な加速のつく方法では5回以上, メーカー推奨の方法では10回以上で完全に混和された. しかし静置および, 左右に静かに動かす方法では, 治療に影響が出るほどの誤差が出た.[結論] ペンを素早く5回以上振るだけで, インスリンを完全に混和できることがわかった. このようなことを指導することで, より良い血糖コントロールにつながると考える.
  • 2002 年 45 巻 4 号 p. 269-309
    発行日: 2002/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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