糖尿病
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躁うつ病 (躁病相) 発症により急激な体重減少と血糖コントロールの改善を認めた2型糖尿病の1例
宗宮 基金沢 一平田中 順子越村 邦夫加藤 讓
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2003 年 46 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

症例は59歳の男性.56歳時に初めて糖尿病と診断され, 1760kcalの食事療法と1日2回のインスリン治療を開始された.Hb A1cは7~8%を推移していた.血糖コントロールおよび骨髄腫の精査目的で当科に入院した.退院4カ月後より活動性亢進, 食欲亢進, 体重減少を認めるようになった.甲状腺機能は正常.体重の著明な減少とともに血糖は改善し, インスリン注射量を減じた.精神科で躁うつ病 (躁病相) と診断され入院した.入院後にインスリン注射を中止しても血糖コントロールは良好であった.炭酸リチウム治療により症状や体重の改善後も, 食事療法のみでHb A1cは5%台を推移した.躁状態による体重減少を契機に血糖コントロールが改善した興味深い症例と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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