糖尿病
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特異なインスリン過剰分泌反応を呈し, ボグリボースで改善を認め, アセタゾラミド併用で症状が消失した特発性低カリウム性周期性四肢麻痺の1例
坪内 博孝井口 登與志孫田 淑代許斐 朝子今村 美菜子江藤 隆垣本 真如子佐藤 直市小林 邦久中島 直樹野村 政壽名和田 新
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2003 年 46 巻 1 号 p. 41-45

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抄録
症例は13歳女性.6歳時に全身の脱力発作が出現.発作時の血清力リウム (K) 値は1.9mmol lであり, 低K性周期性四肢麻痺と診断された.以後はK剤内服にて経過観察されていたが, 次第に症状増悪し1999年6月に当科第1回目の入院.75g糖負荷試験 (OGTT) において血糖値は正常型を示したが, 30分に頂値を示す特異なインスリン過剰分泌反応を認めたことから, ボグリボース投与を開始し, 発作の軽度改善を認めた.2001年7月に再入院し, アセタゾラミドの併用を開始.インスリン過剰分泌は依然として認めたものの発作は完全に消失した.本症例の原因としてK代謝に関与するチャネルの先天的異常に加え, インスリン過剰分泌反応が重要な役割を果たしていることが推定された.本症例の発作予防にはインスリン過剰分泌を抑制するボグリボースの投与と, 代謝性アシドーシス惹起により細胞内のKの活動を抑制するとされるアセタゾラミドの併用が奏効した.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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