糖尿病
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甲状腺機能正常化後も高インスリン血症の関与が疑われる周期性四肢麻痺を繰り返したバセドウ病の1例
三澤 晴雄岡田 洋右谷川 隆久福島 あゆみ廣瀬 暁子河原 智恵神田 加壽子森田 恵美子田中 良哉
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2004 年 47 巻 2 号 p. 133-136

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抄録
症例は30歳, 男性. 1992年 (平成4年) 9月に, 低力リウム性周期性四肢麻痺を伴ってバセドウ病を発症. チアマゾールにて軽快し, 1993年 (平成5年) 以降はチアマゾール5mg/日にて甲状腺機能正常化を維持した. 慢性C型肝炎を合併しており, 2002年 (平成14年) 1月よりインターフエロンα (IFNα) 開始. 4カ月後, 周期性四肢麻痺, 甲状腺機能亢進症が再燃. IFNαを中止し, チアマゾール30mg/日に増量し甲状腺機能は正常化したが, その後も周期性四肢麻痺を頻回に繰り返した. 低力リウム血症を意識して果物を毎日多量に摂取していることがわかり, 75g OGTTにてインスリンの過剰分泌を示していたことから, 本症例では高インスリン血症が四肢麻痺の主因になっていると考えられた. そこで, 食事指導による生活習慣の改善を試みたところ, 麻痺は全く認められなくなった. 通常, 甲状腺機能の正常化とともに麻痺発作は寛解するとされている. しかし, 本症例では甲状腺機能正常化後も周期性四肢麻痺を繰り返し, その機序には高インスリン血症の関与が考えられ興味深い1例であると思われた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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