糖尿病
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抗体の性質に基づき選択したインスリン製剤が有効であったインスリン抗体高力価の糖尿病の1例
海原 昭人島 健二川原 和彦加藤 みどり川島 周
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2004 年 47 巻 2 号 p. 129-132

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抄録
症例は70歳, 男性. 1985年 (昭和60年), 53歳時に糖尿病を指摘される. 1992年 (平成4年) 血糖コントロールのため経口血糖降下薬 (グリベンクラミド) 投与を開始. 1997年 (平成9年) 7月よりインスリン治療 (ペンフィル (R) 30R) に変更した. 2001年 (平成13年) 4月インスリン強化療法開始のため近医入院, その際インスリン抗体 (結合率9196) の存在が認められ, 経口薬へ変更し, 食事, 運動療法を強化したところ代謝状態は一時改善した. しかし, 12月にはHbA1c13.196と再度血糖コントロ一ルが悪化し, 2002年 (平成14年) 1月ノボラピッド® にてインスリン治療が再開されたが, ケトーシスをきたし, 血糖コントロール目的にて同年3月8日当院に入院した, インスリン抗体結合率9596, 持続静脈内インスリン注入, 次いでCSII療法で, 血糖コントロールは改善した. 患者血清の抗インスリン抗体と各種インスリン製剤 (ヒューマログ®, ノボラピッド ®, ヒューマリン®R, ノボリン®R) との交叉反応性を検討した. その結果ヒューマログ®との交叉性が低いことが判明し, 以後比較的少量のヒューマログ®インスリンで血糖 コントロールが可能となった.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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