糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
チアマゾール投与により発症したと考えられるインスリン自己免疫症候群の1例
荒古 道子中 啓吾貴志 豊江川 公浩澳 親人西 理宏古田 浩人中尾 大成佐々木 秀行南條 輝志男
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 47 巻 3 号 p. 221-225

詳細
抄録

症例は71歳の女性で, 1999年よりプランマー病と診断されるも, 甲状腺機能異常は認めずβプロッカ-のみで治療されていたが, 2001年8月より甲状腺機能亢進症が出現し, バセドウ病の合併 (Marine-Lenhart症候群) と診断した.チアマゾール (以下MMIと略す) による治療を開始するも肝障害が出現したため入院した.肝機能障害の精査中に高インスリン血症 (IRI 82-4μU/ml, CPR 2.18ng/ml, IRI/CPRモル比0.79) の存在が確認され, 75gOGTT 2時間後でIRIは最大1, 785μU/mlまで上昇し, 3時間後には低血糖 (28mg/dl) を認めた.インスリン負荷試験で感受性は正常, インスリンレセプター抗体は陰性, インスリン抗体は7396と高値であった.HLAタイプはクラスIIのDR4, HLA-DR遺伝子解析ではDRB 1*0406であり, インスリン注射歴がないことよりインスリン自己免疫症候群 (以後IASと略す) と診断した.プロピルチオウラシルに変更後は肝機能は正常化し, 低血糖症状も認めずインスリン抗体価の低下も認められた.-ASはその発症にSH基を有する薬剤の関与が指摘されており, MMI服用により発症したと考えられるIASを経験したので報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top