糖尿病
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1型糖尿病発症後に大動脈炎症候群が併発し, 糖尿病網膜症が興味深い経過を辿った1例
村岡 都美江吉田 洋子羽倉 稜子赤沼 安夫福田 全克
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2004 年 47 巻 6 号 p. 453-458

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抄録

症例は41歳, 男性, 25歳の時著しい自覚症状を伴い急激に糖尿病を発症し, インスリン治療を開始した. 28歳当院初診し, 臨床像とインスリン分泌の低下から, 1型糖尿病と診断した. 34歳より血沈が促進し, その後3年間炎症反応が持続した. 34歳まで糖尿病網膜症を認めなかったが, 35歳突如として前増殖網膜症が出現し, 2年後にはこく軽度の出血を認める程度に著しく改善した. 39歳の時38℃の発熱, 顔面浮腫が出現し入院, 上肢血圧の左右差 (右136/58mmHg, 左112/76mmHg) と重度の大動脈弁閉鎖不全症に伴う心不全を認め, 大動脈炎症候群と診断し, 大動脈弁置換術を施行した. プレドニゾロン (PSL) 60mg開始後, 炎症反応は速やかに改善した. 網膜症は治療開始2カ月後にやや増悪したが, PSL減量に伴い再び鎮静化した. 本症例の網膜症の特異な経過に, 大動脈炎症候群が関与した可能性が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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