日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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人間社会的流行における数理モデルの提案
イノベータ理論と時間遅れの方程式を用いて
大田 靖水谷 直樹
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2021 年 64 巻 p. 22-45

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抄録

本研究では,ファッションや映画、食品などの人間社会的流行に対して,先行研究で提案された数理モデルを基に,疫学的流行を記述する数理モデルの基礎となったSIRモデル,及びマーケティングにおけるイノベータ理論を考慮し,新しい形の流行モデルを提案した.また,一過性で終わるような流行(以下,一過性タイプの流行),及び再び盛り上がりをみせるような流行(以下,再起タイプの流行)の実データを用いて,ベイズ推定のアプローチによる提案モデルのパラメータ推定を行い,さらに,実データへのフィッティングを行った.本研究で提案されたモデルによって,再起や微細な振動を表現することが可能となり,先行研究で提案された数理モデルに比べて実データへのフィッティングにおいて,その精度を大幅に高めることができた.特に,再起タイプの流行であるKitKatや本麒麟のSNSへの投稿データにおいては,多少のずれはみられるものの,明らかに先行研究のモデルでは表現できていなかった再起や微細な振動が再現された.これらの結果から,提案モデルは人間社会的流行の変遷を説明するための便利なツールであることが結論づけられた.

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© 2021 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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