抄録
凍結および解凍のEuglenaに及ぼす影響について低温顕微鏡および超薄切片法と走査型電顕によって観察した.この結果低温顕微鏡にてEuglena gracilis株の凍結および解凍過程での形態変化を詳細にとらえることができた.また-30℃付近に,運動性および生育のクリティカルポイントをもち,植物および動物に近い凍結感受性を示した.凍結感受性の度合を運動性ならびに生育に求めたがパラレルな結果を得た.すなわち,凍結解凍後運動性を有しないか,あるいは細胞が收縮した状態の場合は生育が認められず,一応死細胞と考えられる.また培養条件の違いによっても若干凍結に対する抵抗が異る結果を得た超薄切片による凍結解凍後の細胞の変動は-30℃と-70℃を比較した場合より低温で処理する程顕著な差が認められ,走査型電顕による細胞表層も-70℃処理においては明らかに機械的障害と思われるパターンが認められた.