凍結および乾燥研究会会誌
Online ISSN : 2432-9916
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各種植物細胞の凍結保存(昭和63年度第34回凍結及び乾燥研究会研究報告)
木村 和夫岩橋 由美子中村 吉宏
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1988 年 34 巻 p. 51-55

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抄録

固体培地上でカルスの継代培養保存を行っている各種植物細胞について,その長期保存法の確立を目的として凍結処理条件の検討を行った.供試した細胞はDatura innoxia(ケチョウセンアサガオ),Rosa hydrida(バラ)Daucus carota(ニンジン),Nicotiana tabacum(タバコ),Vimca rosea(ニチニチソウ)の5種で,27℃,1週間,暗黒下で培養した後,諸条件の検討に供した.1.冷却速度を1℃/分より低下させても相対的に生存率を高めることはできなかった.2.ハードニング効果を検討した結果4週間のハードニングでは効果はなかった.3.凍害防御剤の組成を検討した結果5% DMSO +10% glucose +0.6M mannitolを含むMS培地で大幅な生存率の上昇がみられた.4.保存温度を検討した結果-135℃保存で-190℃より生存率が高かった.5.回復培養を検討した結果0.2Mマンニトール添加培地での回復培養に最も多く増殖が見られ-135℃保存したものが良く増殖した.6.プロトプラスト化して凍結したケチョウセンアサガオは約4倍,ニチニチソウは14倍とカルス状と比べそれぞれ生存率が著しく増加した.

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© 1988 低温生物工学会
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