観光学評論
Online ISSN : 2434-0154
Print ISSN : 2187-6649
「ここ」を観光する快楽
メディア時代のグローカルなロケーション
山口 誠
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 1 巻 2 号 p. 173-184

詳細
抄録

観光化が社会問題から地域振興策へ転換した1980年代を経て、観光地は「遠くの場所」だけでなく、街中や日常空間などの「近くの場所」にも現れた。2000年代には「ここ」を観光的想像力によって再発見し、パワースポットや下町やB級グルメの地元として再編成されるとともに、そうした「ここ」へ向かう観光が人気を博した。本稿では、「ここ」を再発見する観光のかたちに着目し、D. ブーアスティンとJ. メイロウィッツによるメディアと場所に関する先行研究を批判的に継承し、「ここ」を観光する快楽の作動原理を考察する。結論として、均質化と差異化が同時に進行するグローカリゼーションの一例として「ここ」への観光を捉えたとき、そこには観光することではじめて「ここ」を空間的かつ身体的に体験し、また「ここ」を物質的に体験する「わたし」を実感する、というメディア時代の観光の快楽を指摘することで、今後の課題を明らかにした。

著者関連情報
© 2013 観光学術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top