観光学評論
Online ISSN : 2434-0154
Print ISSN : 2187-6649
スマートなるものと確率化される現実社会
人と物のデジタル的管理への批判的視角のために
森 正人
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2018 年 6 巻 1 号 p. 53-67

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抄録
本稿は、日本における「スマートなるもの」の流通が、人間の行為を物質化しプログラム化すること、それによって特定の空間性と時間性が形成されること、さらにそれがそこに存在しうる人としえない人を作り出していく可能性があることを検討する。「スマートなるもの」の例としては、ポケモンGO、スマート・ゲート、スマート・シティを取り上げた。これらの分析により、「スマートなるもの」はデジタル技術によって「非人間」的に人間の動きを作り出すことを指摘した。特定の空間をコードでプログラムすることで、時間性と空間性が作られる。このコード/空間は、現実の空間が仮想的に管理されることを意味し、アルゴリズムが自動的かつ自律的にビッグ・データを解析するのである。ビッグ・データは日常の様々な場面で「スマートなるもの」をとおして集積される。アルゴリズムはリスクを確率化しながら、セキュリティの観点からそこに存在すべき人間を決定する。とりわけ生体データによる統治は生政治的な社会の統治が、デジタル的になされていること、すなわち、人間の身体がデジタル化されながら、その生身の身体が統治されていることを意味する。
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© 2018 観光学術学会
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