日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-35
会議情報
一般演題(ポスター)
ラット精巣の生後発達過程の検討
*島田 信加藤 道幸萩原 美代子下村 和裕古濱 和久
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
ラットにおける精巣毒性研究のための基礎データ構築を目的として、雄Crj:CD(SD)IGS系ラット精巣の生後発達過程を機能・形態学的に調べた。4から12週齢のラットでは、精巣重量測定後、一側の精巣をホモジナイズして精子頭部数(SHC)を計数し、上清中および血清テストステロン濃度を蛍光免疫法で測定した。また、1から8週齢のラットでは精巣をブアン固定-PAS染色により組織学的に観察した。その結果、精巣のSHCとテストステロン濃度は、4週齢から(SHCは6週齢から)8週齢まで顕著に増加し、10週齢で増加が鈍くなり、12週齢で再度増加した。一方、血清テストステロン濃度は、4週齢で精巣中濃度の0.8%と低くかったが、6週齢以降2.1から3.3%と安定して増加し、10週齢でプラトーに達した。精巣の形態学的検索では、1週齢で精粗細胞タイプAおよびその分裂像が、2週齢で精粗細胞のタイプBまで、3週齢でパキテン精母細胞までの生殖細胞がみられた。その後、精子細胞は4週齢でstep 1が、5週齢でstep 8まで、6週齢でstep 17までみられ、7週齢ですべてのstepの細胞が認められた。精巣重量は4週齢から顕著に増加したが、8週齢でプラトーに達した。精巣の生殖細胞は4週齢で最初の精子細胞に、SHCが得られ始める6週齢で成熟末期の精子細胞に、精巣重量がプラトーに達する(7または)8週齢で最終stepにまで分化することが示された。また、12週齢での精巣テストステロン濃度およびSHCの再増加により、完全な性成熟に達するものと考えられた。これらの成績は、種々の精巣毒性物質の標的細胞の特定に有用であり、また、幼若ラットの精巣毒性研究に役立つと思われる。
著者関連情報
© 2005 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top