日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-50
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一般演題(ポスター)
探索段階における毒性評価の効率化(1) 細胞毒性試験における細胞種および試験法の検討
*宮内 慎笠原 利彦小澤 誠村野 弘行荻原 琢男大西 修平
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抄録
【目的】創薬初期の化合物選択において培養細胞を用いた細胞毒性試験は有効であるが,使用細胞株,試験法によって結果が異なることがある。今回我々は,探索段階における細胞毒性試験の実施を目的として,8種類の細胞株,ヒトおよびラット初代肝細胞を用いて4つのアッセイ法を実施し,感度,操作性,操作時間およびバラツキについて比較・検証したので報告する。【方法】由来の異なる8種類の細胞株(CHO,CHL,HepG2,ARLJ 301-3,ACHN,NRK-52E,Caco-2,IEC-6),ヒトおよびラット初代肝細胞を用いた。0.6-2.0×104cells/wellで96穴マイクロプレートに播種し,24時間前培養を行った。11種類の化合物を添加して24時間暴露させ,細胞内ATP量,ミトコンドリア呼吸能(WST-1およびアラマーブルー法)およびDNA量(Hoechst 33342)を測定した。さらにこれらの化合物のIC35値を算出し,細胞およびアッセイ法の比較を行った。【結果および考察】化合物の毒性の強さは細胞間で大きな差はなかったが,アミオダロンはヒトおよびラット初代肝細胞で,シクロスポリンはHepG2細胞で,ビンクリスチンはHepG2およびCaco-2細胞で感受性が弱かった。ヒト初代肝細胞は多くの化合物に対して感受性が強かった。測定法では,ATP測定法が最もバラツキが少なく,操作性,感度および操作時間の面でも優れていた。また,アラマーブルー法も感度良く検出できた。今回用いた11種類の化合物はin vivoでは肝臓や腎臓など特定の臓器に障害を示すが,in vitroでは細胞の由来による差は少なかった。これはin vivoでの毒性はADMEなどによる影響などが大きいが,in vitroでの毒性は細胞の増殖速度や接着能などの影響が大きいためと考えられる。
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© 2005 日本毒性学会
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