日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-58
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一般演題(ポスター)
網羅的遺伝子発現解析データを用いた肝毒性予測モデルの構築
*横川 伸也Declan Mulhern清水 和小原 有弘北島 正人Jose Martin Ciloy鈴木 孝昌奥田 晴宏宮田 直樹二宮 真一須藤 哲司
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抄録
【目的】現在の医薬品開発における毒性評価は、実験動物あるいはヒト由来培養細胞を用いて行われているが、ヒトでの毒性を予測するには不十分な点が多く、今後よりヒトに近い実験系の構築が望まれている。近年ヒトでの毒性を評価する手段の1つとして、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析(Toxicogenomics)が検討されている。そこで、本研究では材料としてプライマリーヒト肝細胞を用いて薬剤曝露時における網羅的な遺伝子発現解析を行い、そのデータを用いた肝毒性予測モデルの構築を目的とした。 【方法】接着型の凍結プライマリーヒト肝細胞に対し肝毒性を誘発する化合物を曝露し、1,4,24時間後の遺伝子発現量をマイクロアレイ(Affymetrix社製GeneChip® Human Genome U133A)を用いて測定した。肝毒性薬剤にはそれぞれ異なる肝毒性を誘発する化合物としてAcetaminophen (壊死)、chlorpromazine (胆汁うっ滞), diclofenac(肝炎)、isoniazid (肝炎)、nitrosodimethylamine(遺伝子障害性発がん物質)、phenobarbital(非遺伝子障害性発がん物質)、 tetracycline (脂肪変性)を用いた。この結果得られた網羅的遺伝子発現データから肝毒性に関連する可能性の高い遺伝子を抽出し、それらの発現データを用いて肝毒予測モデルを構築した。モデル構築にはADMEWORKS/ModelBuilder(富士通九州システムエンジニアリング社)を使用した。【結果・考察】遺伝子発現データをパラメーターとしてモデル作成を行った結果、肝臓内における薬剤に対する応答反応を遺伝子発現レベルで鋭敏に捕え、極めて少数のパラメーターによる肝毒性予測モデルを構築できる可能性を示唆する結果を得ることができた。
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© 2005 日本毒性学会
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