抄録
【目的】近年、医薬品候補化合物の光毒性評価のためのIn vitro 3T3 NRU Phototoxicity Test(3T3 NRU PT) guideline案がOECDで提示された(Draft test guideline 432,2002)。そこで本研究は、3T3 NRU PTの有用性を評価するため、モルモットを用いたin vivo光毒性試験データ及びヒト副作用情報と比較し、それらデータとの相関性を検討した。【方法】既知光毒性薬物として8-Methoxypsolaren(MOP)、Lomefloxacin(LFLX)、Enoxacin(ENX)、Ofloxacin(OFLX)、Norfloxacin(NFLX)及びCiprofloxacin(CPFX)を用いた。薬物の光吸収を波長範囲200~700nmにおいて測定した。3T3 NRU PTはguideline案の方法に従って実施した。Software-Phototox. Ver.2(OECD, 2004/4)を用いてMean Photo Effect値(MPE)を算出し、guideline基準により光毒性を判定した。モルモットを用いたin vivo光毒性試験では、200mg/kgのLFLX、CPFX及び25mg/kgの8-MOPをそれぞれ単回経口投与した。【結果・考察】供した薬物はいずれも波長範囲300~350nm内に顕著な光吸収を示した。3T3 NRU PTにおいてはいずれの薬物も陽性であったが、MPE値の大きさは光吸収強度と相関するものではなかった。モルモットを用いたin vivo試験では8-MOP及びLFLXはCPFXより強い光皮膚反応を示した。血漿遊離型薬物の濃度は8-MOP<CPFX<LFLXの順であった。8-MOPのような強い光毒性を示す化合物については、MPE値とin vivo試験成績が良く相関することが示唆された。以上より、3T3 NRU PTはin vivoにおける光毒性を予測するスクリーニング法として有用であることが示唆された。