抄録
癌細胞が増大するためには,癌組織へ向かう血管新生が極めて重要であることが広く知られている.近年,血管新生を阻害することにより癌の増殖を抑制するという戦略が考えられるようになり,血管新生阻害剤に関する研究は世界的に活発に行われている.前立腺癌は男性ホルモン活性に依存し,その活性をブロックすることで進行を抑えられるためホルモン療法が導入されている.しかし,治療を継続するうちにホルモン不応性となって再燃する例があり,その治療法として化学療法が行われている.しかし,患者が高齢でもあり骨髄抑制などの副作用が問題となりやすいことから,新規治療薬として血管新生阻害剤に対する期待が高まっている.そこで,我々はヒトホルモン抵抗性前立腺癌細胞PC-3に対する各種血管新生阻害剤の効果を,代表的な血管新生解析in vivoモデルであるマウス背部皮下法(dorsal air sac assay)及び担癌ヌードマウスを用いて検討した.本学会では,試験結果及び今後の方向性について報告する.