我々は病理学的な免疫毒性評価技法として、リンパ系組織の免疫組織化学的ならびに酵素組織化学的解析に適したperiodate-lysine-paraformaldehyde(PLP)固定とAMeX法によるパラフィン包埋を組み合わせたPLP-AMeX法を報告してきた。今回、本技術を骨ならびに骨髄の評価に応用するためにPLP-AMeX法にEDTAによる低温脱灰を組み合わせた、PLP-EDTA-AMeX法を試みた。ラットの大腿骨を骨幹から遠位骨端にかけて採取し、4˚CでPLP固定液にて固定後、-5˚Cethylenediaminetetraacetic acid-glycerol(EDTA-G)溶液にて脱灰し、AMeX法にてパラフィン包埋した。パラフィン薄切標本を作製し、HE染色ならびに各種の酵素組織化学的ならびに免疫組織化学的染色を施した。HE染色標本では組織構築の保持が良好であり、骨組織ならびに骨髄組織の詳細な組織学的検索が可能であった。酵素組織化学的検索ではtartrate-resistant acid phosphataseおよびalkaline phosphataseの活性が容易に検出された。免疫組織化学的染色法においては抗ED-1、α-smooth muscle actin、fibronectinおよびtype IV collagen 抗体に加え、通常のパラフィン包埋標本では検出されないPTH/PTHrP receptor抗体で、それぞれ特異的な陽性反応が観察された。以上の結果からPLP-EDTA-AMeX法は形態の保持が良好であるとともに、酵素組織化学的ならびに免疫組織化学的解析に適した組織処理法であり、病理学的な骨および骨髄の検索に有用な標本作製技法と考えられた。