日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-1
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一般演題(口頭)
アセトアミノフェン誘発マウス肝障害におけるカテコールの増強効果
*石井 雄二梅村 隆志西川 秋佳神吉 けい太黒岩 有一岡野 圭太中澤 裕之広瀬 雅雄
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抄録

【目的】たばこ煙やコーヒーに含まれるカテコールは、NOを効率的に消去し、その過程においてラジカル種を生成することが知られている。本研究では、NO産生による肝障害のモデルとしてアセトアミノフェン(APAP)を用い、マウス肝障害に対するカテコール併用投与の影響について検討した。【方法】<実験1>NOとカテコールの反応におけるラジカル種の同定を、DMPOをトラップ剤としてESRにより実施した。また反応中に生成すると考えられるsemiquinone radicalの測定を試みた。<実験2>雄7週令のICRマウスに0あるいは0.8%カテコールを混飼投与し、投与後2週間目にAPAP を0、150、300 mg/kgの用量で単回腹腔内投与した。投与後1.5、4、24時間後に血清AST、ALT活性を、肝臓DNA中の8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)量をHPLC-ECDにより、還元型グルタチオン(GSH)量を蛍光化試薬により測定した。また、nitrotyrosineの免疫染色により、その生成を比較検討した。【結果及び考察】<実験1>NOとカテコールの反応により、hydroxyl radicalおよびsemiquinone radicalが生成することを確認した。<実験2>血清AST、ALT値はカテコール、APAP 300 mg/kg併用投与群でカテコール単独群に比べ早期に上昇し、4時間以降では有意な上昇が見られた。また、肝の8-OHdG量はこの群においてのみ、投与後24時間目に無処置群に比べ有意に上昇した。GSHはすべてのAPAP投与群で同程度に低下し、併用投与群では投与後4時間でAPAP単独群に比べnitrotyrosine生成の増加が観察された。これらのことから、APAPによる肝障害発症下ではカテコールはNOを介した酸化的ストレスによりAPAPの毒性を増強し、さらには酸化的DNA損傷を誘発することが明らかとなった。

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© 2005 日本毒性学会
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