日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-10
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一般演題(口頭)
トキシコロジスト認定制度とIART (International Assembly for the Recognition of Toxicologists)
*堀井 郁夫
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抄録
IART活動の概要:IUTOX・JSTとの関連
1996年頃よりIUTOX 理事会の中でToxicologist Certificationが話題になり、1998年に理事会内にTask Force(Chair:Dr.J.Bus & Dr.T.Sato)が新設された。その頃、JSTにも認定制度の必要性が理事会で議論され、2000年のSOT年会の時にJSTとABTの有志が非公式会合を持って相互認定について話し合い、その後ABTとJSTの強調的会合が中心となり、相互認定について討議が重ねられた。2002年にIARTが正式に設立され、JST-ABT間の協定(非公式)はIARTの活動の中に吸収れる事となった。設立当初は6学会(ABT,JST,EUROTOX,ABVT,AST,KST)が加盟した。この段階では、IARTの活動はメンバー学会の寄付により運営された。2003年のIART運営委員会において、今後の運営にある程度のbudgetが必要なことから、Membership fee制度が提案されたが発展途上国の立場等の件を含め合意に達しなかった。2002年前のABTの歴代President(Ken Wallace, Art Craigmill)等はIARTの設立について積極的に取り組んだが、その後のPresident(任期1年ずつ)は関心が薄く本制度の設定は難航した。2003年IUTOX理事会において、IUTOX PresidentのErik Dybingから、IARTが経済的に運営が困難であるならば、IUTOXの活動として吸収してもよいとの助言があり、IART運営委員会において議論した結果、IARTの機能はIUTOXの活動の一部に包括される事となった。
JSTのトキシコロジスト認定制度の国際的な位置付けと将来展望
IART設定の討議の間、JSTの認定制度の質の高さに関してアピールを重ね国際的な位置付けの高さは十分認識された。すなわち、JSTの認定制度がABTのものを叩き台として厳正に設定されている事、試験を受ける資格、試験の内容、更新制度等を提示しその認識は確固としたものとなっている。最近、ABTは国際的にメンバーの拡大に力を入れており、IARTの中でABTが他学会の認定者を相互認定するのには消極的である。JSTの認定制度は、ABT他でもその内容が高く評価されているが、両団体のみの相互承認は現段階では困難である。むしろ、JSTの認定制度を国際的に育成する方がよいと考えられる。日本での規制当局はJST認定制度を支援しており、国内の製薬企業やCROでも有資格者が評価される様になったことは、JSTの認定制度が一定の効果を果たしていると考えてよい。IUTOX Task Forceの将来の課題としては、各国の認定団体の相互承認(共通の呼称も含む)を目指しているが、各認定団体の歴史的背景や目標、制度などがかなり異 なるので当面は困難であると考えられているのが現状である。
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© 2005 日本毒性学会
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