日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-27
会議情報
一般演題(口頭)
幼若・卵巣摘出ラットにおける子宮肥大反応試験の検討                   〈経口投与および皮下投与の比較〉
*福山 朋季林 宏一田島 由香里藤江 秀彰松本 力林 豊桑原 真紀榎本 秋子上田 英夫首藤 康文小坂 忠司青山 博昭原田 孝則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
子宮肥大反応試験は化学物質エストロゲン様作用のスクリーニングに用いられ,経済協力開発機構主導で試験方法の開発が進められている。今回我々は,幼若および卵巣摘出ラットを用いて経口および皮下投与における子宮肥大反応試験を実施し,有用な結果を得たので報告する。
試験にはエストロゲン様作用を示唆する文献や試験成績が報告されている,メトキシクロール(MXC),2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸およびケポン(KP)の農薬3種類を使用した。動物はWistar系ラットを使用し,幼若ラットでは8週齢時に,卵巣摘出ラットでは20日齢時に3日間,経口および皮下系路とも農薬3種類と陽性対照物質(17α-エチニルエストラジオール)の投与を行った。続く4日目にBrdUを投与した2時間後に剖検および採材を行い,子宮の湿重量および内容物除去後の重量測定,子宮の病理組織学的検査,子宮上皮細胞の細胞増殖活性検査としてBrdU標識率の算出を行った。
結果,幼若および卵巣摘出ラットにおける経口投与では,MXC投与群およびKP投与群において子宮重量および子宮内膜上皮の厚さが対照群と比較して有意に増加し,用量依存性が認められた。MXC投与群およびKP投与群のBrdU標識率においても対照群と比較して増加が認められたが,分散が大きく用量依存性は認められなかった。経口投与では肝臓における薬物代謝のため,皮下投与と比較して毒性の検出感度が劣ることが少なくない。しかしながら,経口投与は農薬の主たる暴露経路と一致し,代謝産物が内分泌攪乱作用を有する化学物質の場合には特に有効な投与経路である。今回の結果では,MXCおよびKPの経口投与群において皮下投与群と比較して有意な子宮肥大反応が認められ,経口投与による試験実施の有用性が示唆された。また,幼若ラットの子宮肥大反応試験は卵巣摘出ラットと同等の成績が得られることが確認された。
著者関連情報
© 2005 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top