日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-125
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生殖・発生・幼若毒性
アフリカツメガエル発生過程におけるビスフェノールAの低酸素応答系への影響
*園淵 了慈村口 太一松永 充博森 智裕木下 勉今岡 進
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抄録
ビスフェノールA(BpA)は内分泌かく乱化学物質の一つに挙げられ、弱いながらもエストロゲン様作用があることが明らかになっているが、最近では性ホルモンかく乱作用以外にも中枢神経発達阻害の可能性なども報告されている。最近我々は、BpAが低酸素応答系の遺伝子発現を阻害することを見いだした。低酸素応答は低酸素感受性因子(HIF-1)が、低酸素状態で安定化されることで起こる。我々はBpAがHIF-1を不安定化させることを明らかにした。HIF-1は発生過程においても、循環器系の形成など様々な形態形成に関わっていると推測されている。今回は、アフリカツメガエル(Xenopus)を用いて、BpAの発生過程における影響、特にHIF-1系を介した影響について検討した。受精卵をBpAで処理すると、神経胚までにおいて、動物極側にアポトーシスが観察され、さらに神経管形成不全が見られた。神経胚期にBpAで処理すると頭部や目の形成不全が起こった。一方受精卵にHIF-1α antisense RNAを導入すると、胚は神経管形成不全で死亡した。また、目の形成不全については、Notch signal系に注目して検討を行った。その結果、BpAはNotch signalの伝達を阻害することを明らかにした。さらに、最近HIF-1αがNotch signalと相互作用することが報告された。現段階では、これらの結果は断片的なものであるが、お互いに深く関わっている可能性が考えられ、BpAの作用とともに発生過程での低酸素応答機構の役割の解明にもつながると考える。Kubo, T. and Imaoka, S. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 318, 1006-1011 (2004).
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© 2006 日本毒性学会
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