日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-126
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生殖・発生・幼若毒性
ビスフェノールA結合因子PDIの発生過程での機能解析
*橋本 翔子山崎 絢子幸田 秀紀岡田 和嗣木下 勉舩江 良彦今岡 進
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抄録
先行研究によって、ラット脳のシナプトゾームからビスフェノールA(BpA)結合因子として、protein disulfide isomerase (PDI)が精製された。PDIは多機能因子で、ジスルフィド結合を形成して、タンパク質の構造を保つシャペロンとして働くほか、甲状腺ホルモンT3と結合したり、コラーゲンのプロリンヒドロキシラーゼのサブユニットとしても働くことが明らかにされている。今回は、アフリカツメガエル(Xenopus) PDI cDNAを新規クローニングし、ラットやヒトPDIと比較した。また、発生過程におけるPDIの機能についても検討した。まず、xPDIタンパク質を大腸菌で発現させ精製した。T3およびBpAとの結合を検討した結果ラットやヒトのPDIと同じようにxPDIはこれらの化合物と結合した。さらに、PDI抗体を用いて、初期発生過程におけるxPDIの発現を検討した。このタンパク質は受精卵から存在していたが、発生の進行に伴って徐々に増加した。特に、神経胚期以降xPDIの発現は増加した。一方、xPDI sense RNAおよびPDIのシャペロン活性ドメインに変異を導入したmxPDI sense RNAを受精卵にマイクロインジェクションして、影響を調べた。その結果、神経胚マーカーに影響が現れた。さらに、PDI mRNAおよびタンパク質の発現が顕著にみられた尾芽胚期におけるPDI mRNAの空間的局在をwhole mount in situ hybridization法により検討した。その結果、PDI mRNAはセメント腺および目を含む頭部領域に多く局在していた。このことはPDIが発生過程において神経系形成に重要であることを示唆するものである。
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© 2006 日本毒性学会
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